これまでソフトウェアは、人間が選ぶものでした。価格、機能、UI、ブランド。しかしAIエージェントが仕事を担う時代、ソフトウェアはAIにも選ばれる存在でなければなりません。KanseiLinkはこの新しい競争力を Agent Readiness と定義し、その評価インフラを構築します。
AIエージェントは、仕様書を送ってもらうこともありません。公開された情報だけをもとに——
を判断します。
これからの企業の競争力は、「人間に使いやすいか」だけでなく、「AIに使いやすいか」でも決まります。
これまでの評価機関は、人間の意思決定を支援してきました。GartnerはCIOが選ぶために。G2はユーザーが選ぶために。ESGは投資家が選ぶために。本Indexが測るのは、AIエージェントが選ぶための軸です。
Agent Readinessとは、AIエージェントが企業やソフトウェアを、安全かつ効率的に利用できる能力を評価するためのフレームワークです。単一の指標ではなく、5つの評価領域から構成される評価モデルとして設計しています。
| 評価領域 | 評価内容 | 公開状況 |
|---|---|---|
| AI Access | API・MCP・認証など、AIが接続できるか | ✅ 公開(2026 Summer) |
| AI Discoverability | AIが製品情報・ドキュメントを発見・理解できるか | 一部実測済み・次号公開 |
| AI Execution | AIが実際にタスクを完了できるか | 開発中 |
| AI Trust | 権限管理・監査・セキュリティなど、任せて安全か | 開発中 |
| AI Compatibility | ChatGPT・Claude・Geminiなど各AIとの相性 | 開発中 |
各領域の証拠は3段階で硬くしていきます: 公開情報(検証可能なファクト)→ 自社実測(接続プローブ・標準タスク実行)→ 複数AIの実利用データ(実際のエージェントがどう判断し、どの程度成功したか)。評価基準を人間が一方的に決めるのではなく、AIの実利用データを継続的に取り込み、評価モデル自体が進化する設計です。
今回公開するのは、このうち AI Access の評価です。
日本の主要SaaS 31社を対象に、AI Accessを検証しました。凡例: MCP=公式MCPサーバーの提供状況(公式=ベンダー自身が提供を公表)。認証=開発者向け一次ドキュメント記載の主たる方式。llms.txt=製品または開発者ドメインでの設置実測(AI Discoverabilityの参考値・格付けには未算入)。すべてのファクトは各社の一次情報と照合済みです(2026-07-13)。
| サービス | 格付け | MCP | 認証(主たる方式) | llms.txt |
|---|---|---|---|---|
| freee会計 | AAA | 公式 | OAuth 2.0 | − |
| マネーフォワード クラウド | AAA | 公式 | OAuth 2.0(APIキー認証も提供・JWT交換方式) | − |
| Misoca | A | API | OAuth 2.0 | − |
| board | BB | API | APIキー + APIトークン(Bearer)併用 | ○ |
| MakeLeaps | BB | API | OAuth 2.0(client_credentials) | ○ |
| invox受取請求書 | BB | API | OAuth 2.0 ※API利用は上位プラン | − |
| サービス | 格付け | MCP | 認証(主たる方式) | llms.txt |
|---|---|---|---|---|
| freee人事労務 | AA | 公式 | OAuth 2.0 | − |
| SmartHR | BBB | API | アクセストークン(管理画面発行) | − |
| KING OF TIME | BBB | API | アクセストークン(Bearer) | ○ |
| ジョブカン ※経費精算/WF API基準 | BBB | API | APIトークン(認証コード) ※勤怠APIは申請制 | − |
| カオナビ | BBB | API | 独自トークン(client_credentials取得→Kaonavi-Tokenヘッダ) | − |
| HRMOS勤怠 | BBB | API | 独自トークン(`Authorization: Token`形式) | − |
| サービス | 格付け | MCP | 認証(主たる方式) | llms.txt |
|---|---|---|---|---|
| LINE Messaging API | AAA | 公式※1 | チャネルアクセストークン(Bearer) | ○ |
| Chatwork | AA | 公式 | APIトークン(OAuth 2.0併存) | ○ |
| kintone(サイボウズ) | AA | 公式 | APIトークン ほか計4方式 | ○ |
| Garoon(サイボウズ) | AA | 公式 | パスワード認証(X-Cybozu-Authorization) | ○ |
| LINE WORKS | BBB | API | OAuth 2.0 | − |
※1 LINE公式MCP(line-bot-mcp-server)はベンダー自身が「プレビュー版・実験目的」と位置づけています。
| サービス | 格付け | MCP | 認証(主たる方式) | llms.txt |
|---|---|---|---|---|
| freeeサイン | A | 公式(freee-mcpが対応) | OAuth 2.0 | − |
| クラウドサイン | BBB | API | クライアントID→アクセストークン交換(Bearer) | − |
| サービス | 格付け | MCP | 認証(主たる方式) | llms.txt |
|---|---|---|---|---|
| Square(日本展開) | A | 公式(リモートMCP提供) | OAuth 2.0 | ○ |
| GMOペイメントゲートウェイ | BBB | API※2 | Basic認証 / OAuth 2.0(OpenAPIタイプ) | − |
※2 GMO-PG本体の公式MCPは未確認ですが、同社グループのfincode byGMOは公式MCPを提供しています(2025年8月OSS公開)。
| サービス | 格付け | MCP | 認証(主たる方式) | llms.txt |
|---|---|---|---|---|
| Sansan | A | 公式(2025-11提供開始) | APIキー | − |
| SATORI | BBB | API | APIキー | − |
| ロジレス | BBB | API | OAuth 2.0 | − |
| STORES | BB | API※3 | OAuth 2.0 | − |
| KARTE | BB | API | アクセストークン(Bearer・管理画面発行) | ○ |
※3 STORESのAPI仕様書はGitHubで公開されていますが、利用は開発パートナー登録制です。
以下の5社は、検証時点で開発者向けリファレンスが一般公開されておらず(契約者限定・申請制・個別相談)、公開情報に基づく格付けができませんでした。これは「劣っている」という意味ではなく、「AIが自力でたどり着けない」という事実の記録です。人間の開発者は営業に問い合わせて仕様書をもらえます。AIエージェントには、その経路がありません——これらのサービスは、検討された上で落ちるのではなく、AIの視界に入らないのです。
| サービス | 確認できた事実(2026-07-13) |
|---|---|
| 弥生会計 | 一般開発者向けの公開APIポータルなし。パートナー向け「弥生Web API」の利用規約のみ公開 |
| バクラク(LayerX) | APIは存在(紹介ページ・利用規約は公開)、リファレンスは契約者向け。OAuth 2.0認可基盤の採用は同社技術発信で公表済み |
| TeamSpirit | 公開開発者ドキュメントなし。API連携はSalesforce API経由・個別相談ベース |
| GMOサイン | Web APIは存在(スタンダードプラン以上)、仕様書は申込制・別途費用 |
| b→dash | 公開APIドキュメントを確認できず。連携はパートナー経由の個別対応 |
当初の検証対象にはLINE Payも含まれていましたが、日本国内サービスが2025年4月30日に終了しているため除外しました。
現在、多くの企業が「MCP対応」をAI対応の指標として語っています。しかし、MCPはAgent Readinessの一部にすぎません。
たとえMCPを提供していても——接続できない、ドキュメントが不十分、認証が複雑、実行に失敗する——のであれば、AIエージェントはそのソフトウェアを利用できません。逆に、MCPがなくても、AIが十分に利用できるソフトウェアも存在します。
KanseiLinkは、単なる技術対応の有無ではなく、「AIが実際に利用できるか」という視点で評価を行います。
格付けはAXR(Agent Experience Rating)指標によるルールベースの評価です。LLMの主観判断は使用していません。公開情報と実測データをもとに、再現可能な方法で算出しています。格付け対応: AAA(90+・要エビデンス) / AA(80+) / A(70+) / BBB(60+) / BB(50+) / B(40+) / C(30+) / D。
| 公式MCPサーバー提供 | +50 |
| サードパーティMCPのみ | +40 |
| 公開API(MCPなし) | +30 |
| APIドキュメント公開 | +10 |
| 認証方式の明示 | +10 |
| 接続エビデンス(実コール3件以上) | +10 |
| 実測成功率80%以上(要エビデンス) | +10 |
| トラストスコア0.8以上 | +10 |
エビデンスフロア: 実際の接続記録が3件以上ない限りAAAは付きません。「ドキュメント上は立派だが誰も繋げていない」サービスを最上位にしないためのルールです。
現在公開している評価は、Agent Readinessの第一段階(AI Access)です。今後、以下を追加します。
Agent Readinessは、公開仕様だけでは完成しません。実際にAIがどのように判断し、どのように利用したかというデータを継続的に取り込むことで、評価は進化していきます。
私たちが目指しているのは、MCPランキングでも、APIディレクトリでもありません。AI時代には——投資家が企業を評価する。企業がソフトウェアを選定する。AIエージェントがツールを選択する。——そのすべてにおいて、Agent Readinessが新しい判断基準になると考えています。KanseiLinkは、そのための評価インフラを構築します。
この格付けの原料になっている接続インテリジェンスは、MCPサーバーとして無料で使えます。使って報告するほどIndexは正確になります。
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