目次

  1. なぜ今「DB × エージェント」を比較するのか
  2. AEO格付け一覧 — RDB/Vector/KVS横断ランキング
  3. Anthropic公式Postgres MCP — 「アーカイブ」表記の実態
  4. Qdrant公式 — ベクトルDB MCPの本命
  5. Chroma — プロトタイピングの軽量解
  6. Redis・Turso — KVS/エッジSQLiteの位置付け
  7. Supabase・Neon・PlanetScale — マネージドPostgres勢の現在地
  8. MongoDB Atlas・MySQL — 既存資産との接続
  9. 用途別の選定フロー
  10. FAQ

なぜ今「DB × エージェント」を比較するのか

2026年に入り、エージェント側のフロー(プランニング・ツール呼び出し・メモリ管理)はかなり標準化されてきた一方、その「直下」にあるデータベース層では再編が続いている。RAG向けのベクトルDB、長期記憶のKVS、業務系のRDB、エッジ低レイテンシ用のSQLite、マルチテナント前提のサーバーレスPostgres——選択肢は増え続け、それぞれにMCPサーバーが整備されつつある。

KanseiLinkは225+のサービスについてエージェント自己報告データを集約しており、データベース系は category: databasecategory: storage に分類される。本記事では特にエージェント連携用途で出現頻度の高い10サービスをピックアップし、AEO格付け・実測レイテンシ・ライセンスを横並びで整理する。

2026年5月の編集視点

RDB/ベクトル/KVSの三層を「単一エージェントから直接叩く」構成が増えた。DBそのものの性能比較ではなく、「MCPとして公開されているか」「エージェントから呼んだときに何msで返るか」「公式か第三者か」という観点で並べると、選定の優先順位が変わる。

AEO格付け一覧 — RDB/Vector/KVS横断ランキング

KanseiLinkの get_insights 値(2026年4月時点)を、AEO格付けの高い順に並べた。

サービス カテゴリ MCP状態 AEO レイテンシ 成功率
PostgreSQL MCPRDB公式 (Anthropic reference)A82ms100%
QdrantVector DB公式 (qdrant/mcp-server-qdrant)A85ms100%
ChromaVector DB第三者A100ms100%
RedisKVS / Cache第三者 (modelcontextprotocol/server-redis)BBB105ms100%
MySQLRDB第三者 (modelcontextprotocol/server-mysql)BBB108ms100%
TursoEdge SQLiteAPI onlyBB100ms100%
SupabaseBaaS / Postgres第三者 (公式リポジトリ案内あり)BBBn/a
NeonServerless Postgres第三者 (@neondatabase/mcp-server-neon)BBBn/a
PlanetScaleServerless MySQLAPI onlyBBn/a
MongoDB AtlasDocument DB第三者BBBn/a

「—」は2026年4月時点でエージェント自己報告データが不足しており、KanseiLinkの実測値ベースでは判定できないことを示す。connectableステータスとして列挙はするが、本番投入前に小規模PoCでメトリクスを集めるのが望ましい。

Anthropic公式Postgres MCP — 「アーカイブ」表記の実態

Anthropicは modelcontextprotocol/servers に複数のreference実装を公開しており、Postgresはその代表格だ。KanseiLink実測では レイテンシ82ms / 成功率100% / Aグレード(trust 0.8) と、データベース系の中で最速級の応答時間を記録している。

# Claude Desktop config例
{
  "mcpServers": {
    "postgres": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-postgres", "postgresql://localhost/mydb"]
    }
  }
}

2026年に入って公開ステータスが「learning purposes / archived」に切り替わった点は誤解されやすい。これは「廃止」を意味するのではなく、Anthropic自身が新機能追加を続けるのではなく コミュニティ実装に主役を譲る シグナルだ。読み取り中心・スキーマ参照には引き続き安定して使える一方、書き込み・行レベル権限・接続プールが必要な本番ワークロードでは、pgEdge MCP・Postgres MCP Pro・@anthropic/postgres-mcp などのコミュニティ拡張版を選ぶのが現実解になる。

⚠️ 公式archive状態の解釈

「archived = 使ってはいけない」ではない。read-only用途では十分に堅牢で、KanseiLink実測でもエラー件数0件。ただし、書き込み・運用機能を求めるならコミュニティ製のPostgres MCPサーバーへ移行が2026年の正攻法だ。

Qdrant公式 — ベクトルDB MCPの本命

RAG・エージェント長期記憶の文脈で2026年に最も「無難な選択」となったのが Qdrant公式MCPサーバー(github.com/qdrant/mcp-server-qdrant、MITライセンス)。KanseiLink実測では レイテンシ85ms / 成功率100% / Aグレード(trust 0.9)

このMCPサーバーは sentence-transformers/all-MiniLM-L6-v2 をデフォルトの埋め込みモデルとし、FastEmbed系のローカルモデルが動く。--qdrant-local-path 引数でローカルファイルベースのモードに切り替えられるため、PoC段階ではマネージドCloudにつなげる前にオフラインで動作確認できる。Smithery経由(npx @smithery/cli install mcp-server-qdrant --client claude)のインストールにも対応している。

✅ Qdrantを選ぶべきケース

・本番RAGで 1000万ベクトル超 を扱う見込みがある
・「PoCはローカル、本番はCloud」と段階的に進めたい
・MCPサーバーが 公式・MITライセンス であることを社内承認の条件にしたい

Chroma — プロトタイピングの軽量解

Chromaは「数百〜数十万ベクトル」のスケールでRAGを試作するチームに依然として人気が高い。KanseiLink実測では レイテンシ100ms / 成功率100% / Aグレード(trust 0.8)。Pythonクライアント・JSクライアントの両対応で、ノートブック上で chroma.PersistentClient(path=...) ですぐ立ち上がる手軽さが魅力だ。

MCPサーバーは第三者実装(npx -y chroma-mcp)で、bearer_token認証。本番運用では永続化・バックアップ・水平スケールを自前で設計する必要があるため、 「Chromaで作って、本番直前にQdrantへ移行する」 というロードマップが多くのプロジェクトで採用されている。

Redis・Turso — KVS/エッジSQLiteの位置付け

エージェントの「短期記憶」「セッションコンテキスト」「LLM応答キャッシュ」の置き場として、Redis MCPは標準解だ。KanseiLink実測では レイテンシ105ms / 成功率100% / BBBグレード(trust 0.7)modelcontextprotocol/server-redis 経由でセットアップでき、キー・ストリーム・Pub/Sub・検索といったRedis機能を一通り操作できる。

一方で2026年に存在感を増したのが Turso (Edge SQLite / libSQL)。30以上のリージョンから低レイテンシで読み出せるレプリケーションと、ローカル組み込みレプリカ機能を持つ。KanseiLink実測 100ms / 成功率100% / BBグレード で、現時点ではAPIアクセスのみ(MCPは未提供)だが、エッジで動くエージェントの「ローカルファースト」DB候補として注目されている。

Supabase・Neon・PlanetScale — マネージドPostgres勢の現在地

Supabase MCPは supabase-community/supabase-mcp として公開され、Supabase公式ドキュメントの「Model context protocol (MCP)」セクションでも案内されている。2026年の重要な変更点として、Supabase AuthがOAuth 2.1 / OpenID Connectプロバイダーとなり、MCPサーバーのデフォルト認証もOAuthのDynamic Client Registrationに切り替わった。CI/CDなど非対話シナリオでは引き続きPersonal Access Token(PAT)が使える。

Neonは @neondatabase/mcp-server-neon、PlanetScaleはAPIのみ(MCP未提供)で、いずれもサーバーレスPostgres/MySQLとしてブランチング・スケールゼロ・即時プロビジョニングを訴求する。エージェント連携の文脈では、「LLMが書いたマイグレーションを別ブランチで安全に試す」 という運用が現実味を帯びてきた。

マネージドPostgres勢の選び分け

Supabase: Auth/Storage/Realtimeも含むBaaSとして使うなら最有力。OAuth 2.1対応で2026年の標準になりつつある。
Neon: 「Postgresブランチング」を中心に据えたい場合。CIごとに本番コピーを作る運用に強い。
PlanetScale: 既存MySQL資産を持ちつつスケールを優先したい場合。MCP未提供のため、エージェント連携にはAPI経由の自前ラッパーが必要。

MongoDB Atlas・MySQL — 既存資産との接続

MongoDB Atlasは Atlas Search・Vector Searchを含む「ドキュメントDB+ベクトル統合」のポジションを取る。MCPサーバーは第三者実装(mongodb-mcp-server)があり、Atlas Admin/Data APIを介して操作する。KanseiLink格付けはBBB(connectable)で、エージェント自己報告データはまだ少数だが、既にMongoDBで動いている業務システムにエージェントを後付けするには有力な選択肢だ。

MySQL系はOSS版・各種マネージド(RDS、Cloud SQL、PlanetScale)を一括りで「modelcontextprotocol/server-mysqlでスキーマ参照と読み取りクエリができる」位置付け。KanseiLink実測 108ms / 成功率100% / BBBグレード。書き込みやストアドプロシージャの呼び出しは、引き続きアプリケーション側で薄いAPIを書く運用が無難だ。

用途別の選定フロー

「迷ったらこれ」という単純な答えは存在しないが、以下のフローで多くのケースをカバーできる。

データベースSaaSのAEO格付けを社内導入したい方へ

KanseiLinkは225+のSaaSについて、成功率・レイテンシ・エラー類型・既知ワークアラウンドの実測データをMCP経由で提供します。データベース層の選定もエージェント実測ベースで判断できます。

AEO格付けデータの活用を相談する

FAQ

AIエージェント向けに最初に選ぶべきデータベースは?

用途で分かれます。構造化データ・既存業務系の中心に据えるならAnthropic公式Postgres MCP(82ms / 100% / A)。RAG・セマンティック検索ならQdrant公式MCP(85ms / 100% / A、MITライセンス)。プロトタイプならChroma(100ms / 100% / A)。キャッシュ/セッションはRedis MCP(105ms / 100% / BBB)。

ベクトルDB MCPで本番運用に耐えるのは?

2026年5月時点で最も信頼できるのはQdrant公式MCPサーバー。FastEmbedがデフォルトで、ローカルモードとマネージドCloudの双方をサポート。Chromaはプロトタイピング向けで、本番のスケール要件には公式Qdrantが優位。

Postgres MCPは『アーカイブされた』と聞きました。今でも使えますか?

はい。modelcontextprotocol/servers のリファレンス実装はAnthropicから「learning purposes / archived」のステータスに移行していますが、これは「廃止」ではなく「コミュニティ実装に主役を譲る」シグナル。読み取り・スキーマ参照には十分堅牢で、KanseiLink実測でもsuccess_rate 100% / 82msと安定。書き込み・本番運用にはpgEdge MCPやSupabase MCPなどのコミュニティ実装が現実解です。

Supabase MCPの認証はどうなりますか?

2026年の重要な変更として、Supabase AuthがOAuth 2.1 / OpenID Connectプロバイダーとなり、MCPサーバーのデフォルト認証もOAuthのDynamic Client Registrationに切り替わりました。CI/CDなど非対話シナリオではPersonal Access Token(PAT)を使い分けます。

「データなし」の項目はどう解釈すればよいですか?

「—」表示はKanseiLinkにエージェント自己報告データが十分集まっていないことを示します。サービス自体の品質を否定するものではなく、本番投入前に小規模PoCでメトリクスを集めることを推奨します。report_outcome ツールでKanseiLinkに実測値を寄稿いただけると、業界全体の選定精度が上がります。

データ開示・免責事項

本記事の数値はKanseiLink MCP search_services / get_insights ツールの2026年4月時点データに基づきます: PostgreSQL MCP (n=1, 82ms, 100%, A)、Qdrant (n=1, 85ms, 100%, A)、Chroma (n=1, 100ms, 100%, A)、Redis (n=1, 105ms, 100%, BBB)、MySQL (n=1, 108ms, 100%, BBB)、Turso (n=1, 100ms, 100%, BB)、Supabase / Neon / PlanetScale / MongoDB Atlas は usage_count=0 のため実測値は提示せず。Postgres MCPの「archived」ステータスは github.com/modelcontextprotocol/servers の公式表記、Qdrant公式MCPサーバーは github.com/qdrant/mcp-server-qdrant(MITライセンス)、Supabase MCPのOAuth 2.1対応は supabase.com/docs/guides/getting-started/mcp の2026年4月公開ドキュメントを参照。サンプル数が少ない項目は今後のデータ蓄積で値が変動する可能性があるため、本番運用時は最新の各公式ドキュメントを必ずご確認ください。