事業者が自社サイトやGitHubで公式MCPサーバーの提供を告知している8件について、SaaS統合の専門データベースがその提供を反映できていませんでした。そのデータベースは当社のものです。「出せば見つかる」が成り立たないことを、自分の失敗として確認した記録です。
(訂正前は「API のみ」3件・「不明」5件)
(導入方法まで記録できたもの 17)
何が起きていたか
当社はSaaSの接続情報(公式MCPの有無・認証方式・APIの所在)をAIエージェント向けに配布しています。その配布データを公開情報と突き合わせ、MCPに関する記載を23件訂正しました。
そのうち事業者自身の告知で提供が裏づけられた8件を挙げます。根拠はすべて事業者自身のドメイン、または公式GitHub組織です。訂正前の当社の記載は「APIのみ」が3件、「不明」が5件でした。「提供なし」と書いていたわけではありませんが、提供されている事実を反映できていなかった点は同じです。
| サービス | 提供元自身の一次資料 |
|---|---|
| AgileWorks(エイトレッド) | www.atled.jp/news/20260727_01/ |
| Square | developer.squareup.com/docs/mcp |
| カラーミーショップ | github.com/pepabo/colormeshop-mcp |
| OneLogin | github.com/onelogin/onelogin-mcp |
| kickflow | tech.kickflow.co.jp/entry/2025/05/13/110046 |
| fincode byGMO | github.com/fincode-byGMO/fincode-mcp |
| GMOトラスト・ログイン | blog.trustlogin.com/2026/mcp |
| Jooto | www.jooto.com/news/20260529_mcp-cli/ |
23件は均質ではありません。訂正前の記載は「提供なし」だけでなく、不明・第三者提供・接続情報の欠落など様々です。導入方法まで記録できたのは17件で、残り6件は提供は確認できたが、当社が導入方法を確認できていないものです(限定提供のBeta、接続先が公開資料に見当たらないもの、根拠が業界メディアのものを含む)。実名で挙げているのは、根拠が事業者自身の発表にある8件だけです。
原因は「登録先」ではありませんでした
① 公式レジストリの検索では見つからなかった
上の表で挙げた8件のうち3件(Square・AgileWorks・kickflow)について、公式MCPレジストリを検索しました。いずれも検索結果は0件でした。3件とも、事業者自身のサイトやGitHubでは提供を告知しています。
これは「レジストリに登録されていない」の証明ではありません。検索で見つからなかった、という測定結果です。名称の付け方や検索条件によって拾えていない可能性は残ります。
いずれにせよ、当社がレジストリだけを見ていたために、この3件を拾えなかったことは事実です。一次提供者が自社ドキュメントやGitHubで配っている場合、レジストリを起点にした収集では届きません。
② 見つけても、既存のサービス情報と結びつかない
レジストリの登録名から機械的に作った識別子は、こちらが持っているサービスの識別子と一致しません。仮にレジストリで見つかるようになっても、別のレコードが増えるだけで、元のサービスの行は「接続方法なし」のままでした。
ドメインで突き合わせる方法も試しましたが、それだけでは足りませんでした。カラーミーショップは、サービスのURLが shop-pro.jp、MCPのエンドポイントが colorme.app で別ドメインです。GitHub組織の pepabo がGMOペパボだと人が認識して初めて繋がりました。
③ 「公式かどうか」を通信方式で判定していた
HTTP/SSEでホストされていれば公式、という推論が入っていました。誰が公開したかを見ていません。この判定では、個人が作ったラッパーがベンダー自身のサーバーと同じ扱いになります。
事業者が確認すべきこと(実測から)
- 出しただけで終わりにしない。 公式MCPを提供しているなら、第三者のデータベースやAIの回答に、それが載っているかを確認する
- 自社ドメイン上のページから、そのサーバーを指す。 保有を裏づけられるのは、そのドメインを支配している人だけが置ける記述です。当社が実名で載せられた8件は、すべてこれが根拠でした
- 接続方法と在り処を分けて書く。 リポジトリURLは「在り処」であって接続方法ではありません。起動コマンドやリモートMCPのURLを別に明示してください
- 兄弟製品と混ざっていないか見る。 同じドメインの別製品のAPIが、自社製品の情報として流通していることがあります(当社も取り違えていました)
正直に書いておくこと
この記事の23件は、当社の配布データの誤りです。他社の不備を数えたものではありません。SaaS統合の情報を専門に扱っている当社が取りこぼしていた、という事実がそのまま「出せば見つかるわけではない」の証拠になっています。
数字の性格も書いておきます。23件はMCPの記載を訂正した総数で、訂正前の値は様々です。「提供されている事実を反映できていなかった」と言い切れるのは、事業者自身の告知で裏づけた8件です。見出しの数字にこの8件を使っているのはそのためです。
また、10件は「提供が確認できなかった」と記録しています。「MCPが無い」とは書いていません。 不在は証明できないためで、この区別は当社の記載方針として決めています。
KanseiLINKは2026年9月、自社が配布するSaaS接続データを公開情報と突き合わせ、事業者自身が提供を告知している公式MCPサーバー8件を、配布データに反映できていなかったことを確認した。MCPに関する記載の訂正は計23件。当社がレジストリを起点に収集していたことが要因のひとつで、実名で挙げた3件は公式レジストリの検索では見つからなかった(KanseiLINK・判定50件・2026-09-07実測)。出典: https://kansei-link.com/insights/mcp-discoverability-gap-2026-09.html
URLを入れるだけ。登録不要・5〜15秒。
よくある質問
公式MCPサーバーを出す意味はありますか?
あります。ただし「出せば見つかる」ではありません。事業者自身が提供を告知している8件が、SaaS統合の専門データベース(当社)の配布データに反映されていませんでした。出したあとに、第三者のデータベースやAIの回答に載っているかを確認する工程が要ります。
公式MCPレジストリに登録すれば十分ですか?
当社の経験では不十分でした。実名で挙げた3件(Square・AgileWorks・kickflow)は公式レジストリの検索で見つからず、いずれも事業者自身のサイトやGitHubで告知されていました。レジストリを起点にした収集では、そうした提供に届きません。ただしこれは「登録されていない」の証明ではなく、検索で見つからなかったという測定結果です。
エージェントが接続に失敗する原因で多いものは?
参照しているデータが間違っている場合があります。当社の配布データにも、公開APIの裏づけが取れないまま「APIあり・認証方式は○○」と記載されていた例が7件ありました。エージェントは、裏づけの取れない認証方式を試すことになります。
自社の状態を確認するには?
まず自社サイトが機械から読めるかを無料で確認できます(登録不要・5〜15秒)。そのうえで、公式MCPを出しているなら、それが第三者のデータベースやAIの回答に正しく載っているかを確認してください。
調査方法
当社が配布するサービスデータ(npmパッケージ同梱)を公開情報と突き合わせ、50件について判定した。内訳は、外部URLを根拠に持つもの33件(事業者自身の発表のほか、プレスリリース配信や業界メディアを含む)、社内の作業記録を参照しているもの7件、根拠URLを記録していないもの10件。実名を挙げているのは、根拠が事業者自身のドメインまたは公式GitHub組織にある8件だけ。レジストリの検索は2026年9月に実施。本記事は当社の接続情報の正確性についてのものであり、各社の品質評価ではない。格付け(ARI Award)とは別の調査。
確認できなかった10件については「提供が無い」とは記載しない。公開情報に記載が見当たらないことは、不在の証明にならないため。このうち2件は一次資料をまだ調べていないものと明記しており、調べれば提供が見つかる可能性がある。残りは調査したが確認できなかったもの。